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大津市坂本5丁目日吉大社
1月1日 歳旦祭 大戸開き

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大戸開き能奉納の日吉大社西本宮 地図
神々しい「日吉の翁」神事能奉納
「交通メモ」
JR比叡山坂本駅または京阪電車坂本駅下車、
徒歩約7分。
 1月1日、元旦初もうでが始まった大津市坂本5丁目の日吉大社では「歳旦祭*さいたんさいの大戸開き*おおとびらき」神事が行われる。大戸開きというのは、年の初めなどに神社の扉を開けることをいい、多くは歳旦祭とともに営まれて、新年にあたり神様が姿を現すことを願う神事とされてきた。古くは貞応2年(1223)の「燿天記*ようてんき」に記載されている。
 最初のころの神事では、神職が牛の舌に似た餅を供えながら日吉大社の7社に次々と詣でて、本殿の内陣を開戸し、ろうそくに火をつけて祝詞*のりとを奏上するという簡素なものだった。
 現在の「大戸開き」は、1月1日午前5時から西本宮拝殿と、引き続き東本宮で行われ、観世流能楽の流れをくむ片山大夫*たゆうを筆頭に片山社中による能が奉納される。まず、西本宮では午前5時に大松明*たいまつを先頭にした白装束の宮司以下数人の神職と観世流の能大夫1人、地謡*じうたいの数人が本殿に進み、本殿の扉を開いて献饌、祝詞を奏上し、宮司1人を中に残して御簾*みすが下ろされる。
 これを合図に西本宮拝殿で謡曲「日吉の翁*おきな」が謡われ、ボンボリ2灯のほのかな明かりの中で一人舞いが奉納される。終わると、引き続き一行は大松明を先頭に東本宮へと向かい、同じ神事を行う。ただし、東本宮では能大夫は「高砂」の中の「四海波*しかいなみ」を謡うだけで、舞いは舞われない。
 このように神前で能が奉納されるようになったのは室町時代の後半からで、元亀*げんきの兵乱でとだえたものの、江戸時代に入って復興したという。大津市坂本は「近江猿楽*さるがく」の発祥の一つで、日吉社の行事に奉仕する猿楽座があったことは有名。この日吉大社神事能を今に伝える伝統ある大戸開き能なのである。(2000年1月掲載)


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